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この結果として、吸気弁の早閉じによる空気の断熱膨張により、燃焼前のシリンダ内の空気温度が低下し、燃焼最高圧力や燃焼室温度、排気温度の上昇を抑えることができる。

 

2)2段過給方式
ミラーサイクルにおいて、通常の過給圧のまま吸気弁を早閉じした場合、吸入される空気量が減少するため、燃焼効率が低下する。
このため、ミラーサイクルを成立させ、目標出力を達成するためには、従来より高い給気圧により、より多くの空気をシリンダ内に導入する必要がある。
より高い給気圧を得るためには、過給効率を向上させた超高圧型過給機の開発および更に高い過給圧が可能となる2段過給方式が必要となる。
2段過給方式は、コンプレッサを低圧段側と高圧段側の2段とし、従来の1段過給よりも高い給気圧を得る技術である。
2段過給方式には、1台の排気タービンに2台(低圧段側と高圧段側)の給気コンプレッサーを接続した1軸2段過給方式と、大きさの異なる2台の過給機を直列に接続する2機2段過給方式が考えられる。
1軸2段過給方式は、中間空気冷却器が装着できないため、コンプレッサ出口の給気温度が高くなり、特殊材料を検討する必要がある。
また、サージマージンが小さく、機関の運転条件の変化に対応した導入静翼の制御方法の確立が必要となる。
これらの技術的課題の解決には相当の困難が伴うため、今回は、2機2段過給方式を採用する。
2機2段過給方式の場合、低負荷時は排気ガス量が少なく、低圧段側過給機が十分に作動できなくなると考えられる。
この場合、低圧段側過給機が抵抗とならないよう、低圧段側過給機と高圧段側過給機を結ぶ給気管、排気管のそれぞれにバイパス弁を設置する。排気ガス量の少ない低負荷時には、この弁を開き、主に高圧段側過給機を作動させ、排気ガス量が増加した高負荷時には弁を閉じて目標とする給気圧を得ることとした。

 

 

 

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